2015年6月24日
学生職員人
【遠別農業高校】当時羊に名前をつけた少年は大人になった今も羊と仲良く遠別で暮らしているようです。
遠別にある北海道遠別農業高校の話
北海道遠別農業高校、略して『エンノー』。遠別町にある全校生徒100人に満たない小さな農業高校は私の生活する遠別町唯一の高校です。男女別の寮もあり、遠別町を始め留萌管内、札幌から入学する生徒もいます。
4年前に、この高校での出来事をもとに発刊された書籍、その書籍の名がタイトルにもある【羊に名前をつけてしまった少年】。今日の記事では当時羊に名前をつけた少年の現在について、少しだけ触れたいと思います。
羊に名前をつけた当時の少年
当時、少年だった中島和輝さん(24)。今はすっかり大人になりました。私の数倍ありそうな大きな体で羊のお世話をしています。中島さんは生粋の遠別人で、生まれてから今までずっと遠別町で生活しています。もちろん、エンノー卒業生。中島さんは遠別農業高校を卒業後、実習支援員として立場を変えて現在も遠別農業高校と関わり生活しています。
実は私が高校生の頃に、高校生ボランティアとして当時小学生だった中島さんと出会っており、そのやんちゃさに手を焼いていたというのはまた別の話。
羊に名前をつけた当時の少年
『銀の匙』という漫画でも取り上げられていたテーマですが、学生が世話をする家畜たちはいずれ食肉になる運命。名前をつけるとその家畜に情が移ってしまうため、できるだけ避けたいこと。必要以上に情をかけてしまうとどうしても別れがつらくなります。農業高校だからこそ感じる命の重さや自然、動物との関わり。
『羊に名前をつてしまった少年』は中島さんの話をもとに当時、国語の教師だった方が書き上げた一冊。装幀は遠別町出身の坂川栄治さん、装画は元旭山動物園の飼育係であり『あらしの夜に』の絵を描いたあべ弘士さんと錚々たるメンバーでつくられたのです。 この作品が出来上がるまでのストーリーが坂川栄治さんのウェブページでまとめられています。
「羊に名前をつけてしまった少年」 | AGEEIJI : EIJI SAKAGAWA GRAPHIC DESIGN OFFICE
中島さんから、今の話を聞いてみた
つい最近も羊の出産現場に向き合っている中島さん。予定通りにいかないのが動物相手の仕事。出産を控えた時期にはかなり気を引き締めるとのこと。普段から笑顔が絶えない中島さんですが、羊と触れ合っている時にはその顔が一層ほころんでいるような気がします。今の仕事は羊だけでなく土、花や野菜、学生との関わりなどすべてが自分の好きなこと。少しだけ休憩室にお邪魔してお話。
とはいえ、一年中遠別を離れないわけではなくたまの息抜きも。年に一度、沖縄の離島巡りをするのが趣味だそう。写真見てわかるとおり、終始笑顔です。自分より5歳ほど若いのにもかかわらず、笑顔に感じる貫禄。それは、自然や動物を相手に仕事をしている人特有のものにも感じられます。
いまもこれからも、遠別で
「風の強い、厳しい寒さの冬も穏やかな春も。はっきりとした四季が感じられる遠別町が好き。」生粋の遠別人からのこの言葉に私も凄く共感。派手さはないけれど、自然体な力強い言葉に思わず大きくうなずきます。
住む場所を決めるものさしは自分だけのものであって、誰かと比べるものでもなければ何個も持つ必要もないんだろうなぁと改めて感じました。
今後も、遠別農業高校界隈の話は取り上げていきたいと思います。